変わる企業の規制と税制

2021年8月

著者:Patricia Breman and Larry Cohen

緩い企業規制と低税率の時代は終わりつつある。

各国がcovid-19のパンデミックから立ち直ろうとする中、グローバル企業は税務署員と独禁法取締官の両方から異常なほどの注目を集めている。その一例が、2021年6月に英国のコーンウォールで開催されたG7(Group of Seven)において、ジョー・バイデン米国大統領が発表した、多国籍の大企業に対して15%のグローバルミニマムタックスを導入するという計画である。現在までに130カ国がこの計画に署名しており、OECDはこの税によって年間1,500億ドルもの追加収入が得られると予測している。

近年、政府はこれまでのビジネス政策に疑問を投げかけている。これまで大企業は雇用を創出するという理由で優遇されてきたが、新しい技術の登場により、大企業と雇用創出の関係が弱まっている。米国では、大企業よりも中小企業の方が雇用を創出しているという研究結果が繰り返し発表されている。また、何百万人もの人々が職を失ったパンデミックの際、一部の大企業は株主に記録的な利益をもたらしたが、祖その割に納税額は少なかった。

15%のグローバルミニマムタックスは、商品の生産地ではなく、商品の大半が販売されている場所に基づいて適用される(一部の大企業をはじめとする企業に影響がある)。2つ目の潜在的な財源は、デジタル広告に物品税(アルコール、タバコ、燃料産業など、商品が売れる前に事業者が支払う税金)を課すことである。元世界銀行のチーフエコノミストで、現ニューヨーク大学のPaul Romer教授は、物品税が、広告販売で利益を得ている大規模なハイテク企業を分割するインセンティブとして機能すると主張している。Romer教授によれば、分割は、企業にとっては税負担の軽減というメリットがあり、社会にとっては、広告を支援する大規模なソーシャルメディア企業の政治的影響力を低減させるというメリットがある(独占禁止法違反の疑いも回避できる)。規制ムードの変化を示すもう一つの兆候として、米国連邦取引委員会(FTC)の新しいトップにコロンビア・ロー・スクール(コロンビア大学)のLina Khan准教授が就任し、大規模なハイテク企業に対する規制強化に賛成の意向を示している。(英文)