Synopsis 2010-06

　2010年5月19日のScanTM Meetingでは、3つのテーマと幾つかの広範な個別のパターンが明らかにされた。最初のテーマは、創造性やプロセスを利用する際の問題の多いプロセス、また各地域の競争力強化を目的とする国際ネットワークの発達などイノベーションに関わるトピックである。二番目のテーマは、ワイヤレス接続の要件や機会、ヒューマン･マシン･インターフェースの有用性といったデバイス･インタラクションに関するトピックである。三番目のテーマが取り上げるのは、メディアソースや配信に関する新たな進展である。この他、消費者問題、中国の都市計画、宇宙開発を扱ったパターンも登場した。

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　イノベーション関連のパターンは3つある。P0062「イノベーション・ツールの落とし穴」は、イノベーションを後押ししたり、創造性を活用しようとするツールの誤った使い方は、問題の多い結果を招くと警告している。P0068「乗り遅れることへの恐怖が軽率な判断を促す」では、国や企業が科学や研究分野での遅れを取り戻そうと短期的に力を注ぐことから生じる課題を列挙している。P0069「イノベーションのグローバルな相互連携能力」は、国や地域がどのようにして科学ネットワークを構築し、イノベーションを推進しようとしているか、その実例を紹介している。

　デバイス･インタラクションに関するパターンは3件ある。P0063「ワイヤレス接続の断絶」は、ネットワークに常時アクセスしている、あるいは潜在的に常時アクセスを前提としているビジネスモデルが曝される危険性について概説している。これとは対照的にP0065「モバイル･ヘルスケア」は、医療アプリケーション向けのさまざまなタイプの無線技術の活用に取り組む業界に開かれるビジネスチャンスを示している。P0067「『姿を消す』ユーザー・インターフェース」は、情報テクノロジーとのインタラクションが直感的なものとなるため、ユーザーがインターフェースとの間で情報をやり取りしているということを忘れてしまう未来を予想している。

　メディア関連の動きは2つのパターンが示している。P0061「プロフェッショナリズムの衰退」は、メディアアウトレットでの写真材料などの例が示すように、アマチュアや場合によっては自動化されたソリューションもが、専門家に伍する力をつけている状況を示している。P0064「プラットフォームとしての出版」は、情報や娯楽の出版は、コンテンツベースからプラットフォームベースへと軸足を移そうとしていることについて述べている。

　以上のほか、2010年5月19日のScanTM Meetingでは、個別的なパターンが明らかになったが、これらは現段階では未だ推測の域を出ない。P0066「意欲と行動のギャップ」は、時として直感に反するような消費者行動について考察している。P0070「都市の知的生態系を設計する」は、持続可能な都市環境を作るための新たな取組みを紹介している。P0071「中国を浄化する」では、世界が示す懸念に対して本気で取り組むには、中国の指導者が政策や手段の調整が必要であることを認識し、実行に移すべきであるとしている。P0072「宇宙で資源探査」は、将来のビジネスチャンスの対象としての宇宙空間における開発やそのメリットについて検討している。