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DNAが発見され、その視覚化、特性決定、マッピング、移植方法が発明されたことによって新たな財産所有権が発生したが、これが論争の的となっている。
1999年末までに米国特許商標局は遺伝子配列に関して2,300件の特許を認可した。バイオ研究の成果に対する特許には多くの反対意見がある。しかし特許で保護されなければ、生命科学産業が研究資金を稼ぎ出せないこともまた事実だ。新薬その他の開発に必要な研究はリスクが大きく、巨額の資本を要する。特許を巡ってこうした議論が渦巻いているため、ゲノムに関する特許動向の先行きは不透明となっている。
この分野は遺伝子工学製品の商業化に関して信頼できる法的枠組みが定まっておらず、確固たる拠り所が確立されるまでには法律や科学の解釈を巡って多くの異論が噴出するだろう。一方には遺伝子やタンパク質情報へのアクセスを提供する社会的利益があり、他方には治療薬の商業化を追求する企業にインセンティブを与える必要性があるわけだが、特許当局や業界関係者は何とか両者の均衡を図るべく、動き出している。
いずれにせよ遺伝子産業は開発が長期にわたることを覚悟し、特許問題につきまとう不確実性に対応していかなければならない。
(7ページ)(著者:Andrew
Broderick)
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