競争圧力の高い今日のビジネス環境では、幸運やいいアイデアさえあればしばしの間成功を収めることは可能かも知れない。だが古くさいビジネスモデルにこの先10年も固執するような企業は、遅かれ早かれ革新的な競争相手に負けを喫するはずだ。
ゼロックスやAT&T、シアーズといった巨大企業でさえ、この10年ほどでビジネスモデルが立ち行かなくなった。これらの企業だけでなく他のどの企業にとっても、競争で優位に立つ差別化の武器は新しいビジネスモデルである。特にインターネットは、そうした新しいモデルにとって肥沃な土壌となってきた。
デル、アマゾン.コム、ランズ・エンド、テスコ、ウォルマートなどの企業はインターネットならではの強みをバリューチェーンのあらゆる環で活用する新たな可能性を開拓した実績を持つ。既存のビジネスモデルで間に合わせたり、他社の物まねをしたりするのを潔しとしない彼らは独自の道を探り、多数のモデルを同時に試行してリスクの最小化を図る一方で、顧客に価値を提供するという究極の目標は決して見失わなかった。
とは言え、インターネットを活用した新しいビジネスモデルが軒並み成功を収めたわけではない。中には自社のモデルにインターネットの強みを生かし切れなかった企業もある。これからの企業は自社独自の資産や目標に合致するビジネスモデルを見つけなければならないが、その前に先人の経験を学んでおくことは、インターネット活用に役立つ基本原則を会得するうえで大い
に有用だろう。 (17ぺージ)(著者:Paul R.
Merlyn)
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