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燃料電池には、有害物質を排出しない、エネルギー密度・出力密度に優れている、可動部品がない、など多くの優れた点がある。にもかかわらず、これまで輸送・静止型発電市場向けの実用化が進んでいない。だが現在では携帯電話や携帯情報端末といったポータブル機器で従来より大きな出力が求められており、燃料電池、特に出力50ワット以下の小型燃料電池への関心が高まっている。
今後3〜5年の近い将来で最も有望なのはアルコール燃料電池だ。手作業でつくられたプロトタイプが数社から発表されており、年内にも商品化が期待される。だが大方のアナリストのみるところ、技術的なハードルが高く、2004年までに小型燃料電池の商品化が実現する可能性は低いという。
先行するのは燃料電池駆動式のバッテリーチャージャーと軍用のポータブル電源とみられ、現在のバッテリーを完全に駆逐するのはさらに先になるだろう。しかも小型燃料電池が参入する市場は競争が激しい。中でも亜鉛空気電池はエネルギー密度が高いのに環境汚染が少なく、強敵である。とは言え燃料電池技術が実用段階に達した暁には、消費者向けポータブル機器だけでなく、自動車や静止型発電などへの利用の道も開けるのではないか。ただしそのためには、業界がむやみに過熱せず、技術の成熟を待たずにポータブル機器への導入を開始するといった愚を犯さないことが条件である。 (17ぺージ)(著者:Margaret
Pak, Barbara Heydorn) |