2002年2月、strategicbusinessinsightsでは業界専門家を招いて円卓会議を主催。パーベイシブ・コンピューティングを形成する一群の技術やアプリケーションの展望について議論した。参加者はパーベイシブ・コンピューティングの将来について概ね楽観的だったが、それでも議論では、商業利用の普及までに克服しなければならない技術的ハードルの検討に多くの時間が費やされた。
パーベイシブ・コンピューティングとは、情報技術の集積によって実現するネットワーク化されたコンピューティング環境のことである。常時接続、常時利用が
可能だが、特にその存在は意識されない。単にコンピュータが遍在するいわゆるユビキタス・コンピューティングを超える環境であり、ネットワークで結ばれた無数のコンピュータは、どんなユーザーとも意識せずに相互運用や対話ができなければならない。
本当の意味のパーベイシブ・コンピューティングが実現すればコンピュータの世界にはパラダイム・シフトが起こり、主役はデスクトップに置かれたマシンから人間に移るだろう。そこではコンピュータがこなす仕事は脇役でしかない。期待できる個人ユーザー向けの価値としては、利便性や常時コミュニケーションの実現などが考えられる。友人や同僚と常にやりとりできる状態になる。
一方企業向けでは対照的に、生産性や効率改善のメリットが期待できる。どちらの市場も有望ではあるが、パーベイシブ・コンピューティングに必要な技術やルールが急速に発展しそうなのは企業向け市場であろう。パーベイシブ・コンピューティング環境の整備が進むのは、恐らくは個別の企業や場所あるいは業界の範囲内に限られるとみられるが、それでも大幅な効率改善とコスト削減が期待できる。こうした疑似パーベイシブ・コンピューティング環境は、技術を賢く活用・適用した企業に多大な競争優位性をもたらすに違いない。
(13ページ)(著者:Carolyn
Sleeth)
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