有機セル太陽電池はまだ研究段階にあるが、研究界の関心はきわめて高い。というのも、太陽電池への応用可能性が当初予想された以上に有望であるとわかってきたためだ。今後数年で技術が進化すれば、実用化へ向けて一段と注目を集めることになろう。
市場機会としては、太陽電池の基礎材料となる導電性ポリマーの商品化からプラスチック太陽光発電システムの構築まで、幅広い可能性が考えられる。後者は融通が利き、ローコストで、ゆくゆくは変換効率も従来の無機半導体太陽電池を上回ると期待される。従って多くの企業が今後この新技術に投資する見通しだ。年間十億ドル規模に達する急成長中のエネルギー市場を代表するのは目下のところ無機太陽電池だが、有機太陽電池はこれを含めた既存の商用発電技術に打ち勝つ可能性を秘めている。
有機太陽電池はローコストな系統連系型電力システムとして有用なだけでなく、ポータブル機器のバッテリー充電、交通信号の電源、僻地の電化など独立型システムとしても有望と見込まれる。だが実際に市場に投入されるまでには多くの欠点を克服しなければならない。エネルギー市場は競争が激しいうえ、有機太陽電池は材料の性能面に問題が残る。また前評判通り安価であることも実証する必要がある。
(12ページ)(著者:Anthony Despotakis)
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