2002年7月、カリフォルニア州のグレイ・デービス知事は温室効果ガス(主として二酸化炭素およびメタン)の削減を義務づける法案に署名した。規制対象は乗用車、軽トラック、ミニバン、SUVの2009年以降のモデル。今後カリフォルニア州は将来の自動車設計に多大な影響を与えることになりそうだ。
法律が施行されれば、自動車メーカーは一段と燃費効率に優れた車の製造を迫られる。しかもカリフォルニアは全米最大の自動車市場だ。これを機に、ハイブリッドカー、燃料電池自動車さらには水素など代替燃料を使用する車の開発が一段と進むと考えられる。法案の通過は環境保護運動家にとっては大いなる勝利と言えるだろう。環境意識の高い他の州もカリフォルニア州に追随し、独自の温室効果ガス規制を制定する見通しである。
だが最終的な結末がどうなるかはまだわからない。自動車メーカーは一斉にロビー活動を展開し、訴訟も辞さない構えをみせている。新法は単に燃料節約を狙った規制に過ぎず、それは連邦法の範疇であって州法で扱うべき問題ではないというのが彼らの言い分だ。カリフォルニア州の新条例は温室効果ガスのみを論じ燃費には言及していないので、温室効果ガスがカリフォルニアの環境に悪影響を及ぼす有害物質であると法的に認められるかどうかが、今後の鍵となろう。
最終的に法律が施行された場合、自動車、エネルギー産業と消費者への波及効果は計り知れない。温室効果ガスを巡る米国の法規制に影響を及ぼし、ひいては米国
の産業界に衝撃を与えることは確実である。 (8ページ)(著者:Susan
Leiby)
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