ジェノミクスは専門研究や製品開発を変えるだけでなく、最終的には新しい薬、診断法、原材料の提供を通じて人々の毎日の生活をも変えることになるだろう。だがこうした輝かしい展望を商業的な成功に結びつける方法はまだわかっていない。ジェノミクスはまだ科学としては新顔で、多くの未知の要素がつきまとっているからだ。企業は科学から実用知識を導く方法をマスターし、コスト・性能の両面でメリットをもたらす技術を開発しなければならない。
またジェノミクス分野の学術研究や製品開発は広く社会・政治情勢と切っても切れない関係にあり、遺伝子にまつわる製品やサービスが最終的に社会に受容されるかどうかは法律、倫理、社会的な要因から決まることになる。法規制当局は、遺伝子資源の権利や知的財産権が誰に帰属するのかを決定しなければならない。また科学者と政策決定者は緊密に連携し、国民参加型の政策立案、効果的な法規制の枠組みづくり、消費者向け市場の創出に必要なインフラ整備を進めていくべきだろう。
一方ゲノム関連企業は長期的な見通しを立て、実用化に伴う技術的な不確実性に戦略的に対処していく必要がある。製品化には高いコストを要するため、製品投入後になって市場を選び直すわけにはいかない。市場が確立し効率的なインフラが整うまでそこに止まる体力が必要になる。
(17ページ)(著者:Susan
Leiby)
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