2001年に世界貿易機関(WTO)加盟が承認されたことは中国の歴史に残る出来事である。これで同国は豊富な資源を国際市場で売りさばく機会を獲得すると同時に、膨大な人口を抱える国内市場を世界中の企業に開放することになった。
潜在性がとりわけ大きいのはエレクトロニクス産業と言えるだろう。中国が抱く野望は、材料・完成品のサプライ・チェーンやICの設計・製造、最終製品・サービス(ソフトウェアを含む)の需給事情に多大な影響を与えている。昨年、欧米各国や環太平洋域の半導体メーカーは事業環境の悪化に悩まされたが、ひとり中国のIC市場だけは堅調な内需に支えられて成長を続けた。こうした背景から、中国にとっては今こそ外資の導入を進め、半導体産業を世界水準に近づけるべき時期と考えられる。
ある予測によると、2005年には中国が世界の半導体売上高に占める割合は12%近くに達するとされ、世界最大の半導体消費国になる日もそう遠くない。ソフトウェア開発からハードウェアのネットワーク構築に至る他の分野でも同国はリソースを蓄積しており、いずれはグローバル市場で重要な地位を占めるだろう。ただ、躍進する中国経済は確かに魅力ではあるが、同国に潜む問題点も目立ってきた。この点は外国企業・国内企業双方にとって障害となっており、例えばWTO加盟国は、早くも反ダンピングの訴えを起こしている。またエレクトロニクス産業で主導権を握るためには、中国はまだまだ技術力を強化しなければならない。顧客向けサービスの改善も望まれるし、先端的なスキル開発に力を入れ、無駄のない柔軟性に富んだ製造体制を整える必要もある。
ともあれひとつはっきりしていることがある。中国が野心的な目標を達成しようとしまいと、同国がエレクトロニクスで世界制覇を目指すこと自体が世界中の電子メーカーにとっては脅威となり、また商機ともなるだろう。
(18ページ)(著者:Carolyn E. Sleeth)
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