コラボレーションプラクティスの変化

2021年11月

著者:Sean R. Barulich

Covid-19のパンデミック、リモートワークやハイブリッドワークの増加を反映した企業オペレーションのデジタル化によって、コラボレーションソフトウェアベンダーはプラットフォームの機能拡張を進めている。多くのベンダーがオールインワンソリューションの開発を目指しているが、企業は特定のタスクやチーム機能に対応した多様な専門的コラボレーションツールの使用を好むかもしれない。

企業がリモートワークを支援する機能を次々と構築しているので、コラボレーションツールベンダーはリモートワーク関連の機能を実装し、積極的に市場シェアを競い合っている。2021年初頭、コラボレーション市場のリーダーであるMicrosoftは、eラーニングモジュール、従業員コミュニケーション、生産性指標、社内情報などの企業リソースのハブとして機能する新しいツール「Viva」を発表した。この動きにより、Microsoftの市場でのポジションは強化されることになった。

他のコラボレーションツールベンダーも、アプリケーションの機能を拡充している。Ciscoは最近、多くのコラボレーションツールベンダーと提携し、Webexプラットフォーム上でさまざまなサードパーティアプリケーションに直接アクセスできるようにした。例えば、Webexから、採用担当者はHackerRankを使用してスキルインタビューを行い、プレゼンターはRead Dashboardを使用して聴衆の感情を追跡することができる。

その他、Adobeは、クリエイティブワークフローの効率化に焦点を当てた2つの新しいコラボレーションソリューションのベータ版を立ち上げつつある。最初のアプリケーションであるCreative Cloud Spacesは、コンテンツライブラリ、プロジェクトドキュメント、Webリンクにアクセスし、整理するためのスペースをワーカーに提供する。2つ目のアプリケーションであるCreative Cloud Canvasは、クリエイティブなコンテンツの表示、コラボレーション、レビューのためのプラットフォームをクリエイターに提供する。この新しいツールのベータ版リリースは、AdobeのCreative Cloudサービスの次の進化と、クリエイティブなコラボレーションの向上に対するAdobeの関心を示すものである。

Implications

Covid-19パンデミックによってデジタル化を進めた企業の多くは、現在もリモートワークとハイブリッドワークの両方にワークフローを最適化しようとしている。リモートワークへの適応に際しての課題が少なかった企業は、ワークフォースの生産性をサポートする最適なコラボレーションソリューションを今も探している。場合によっては、ソフトウェア開発リソースを持つテクノロジー企業が、チームや組織のニーズにより直接的に対応する独自の自社ソリューションを開発することもある。例えば、Meta(旧Facebook)は、Facebookプラットフォームと直接連動する独自の応募者追跡システムを自社開発した。しかし,ハイブリッドワークのダイナミックな現実を考えると,組織 のニーズの変化に柔軟に対応できるさまざまなソリューションの利用が必要になる可能性がある。そのため,サードパーティのさまざまなソフトウェア・プログラムをサポートするモジュール式のコラボレーション・スイートへのシフトは,見込み客を獲得するための戦略として成功する可能性がある。

その他、最近のコラボレーションソフトウェアの傾向として、リモートワークの生産性や健康状態(特にデジタル・ウェルビーイング)を分析する機能を採用する方向にシフトしていることがわかる。しかし、導入方法や企業文化によっては、労働者データダッシュボードは、コラボレーションソリューションの積極的な活用を支援することもあれば、労働者と雇用者の間の緊張を煽る強力で侵襲的な従業員監視システムを作り出すこともある。(英文)