ここ10年ほどで、栄養補助食品は米国の消費者向け製品市場でメジャーな存在になってきた。人口構成、健康意識、メディアの関心などがどれも追い風となって消費量を押し上げたと言える。にもかかわらず、栄養補助食品業界(機能性食品、栄養補給用サプリメント、栄養強化食品の類を手がける業界)は一種の成長痛に悩まされている。規制当局と消費者が、この手の食品に果たして宣伝通りの効果があるのか知りたがっているからだ。
しかし綿密な科学研究や臨床試験を行うには膨大な費用がかかるため、ほとんどの企業は及び腰である。しかもこの市場で確固たる地位を築くのは難しい。差別化を図る方法がきわめて少ないうえ、投資回収の見通しは不透明。次の大ヒットを狙う競争は激しく、規制当局が打ち出すガイドラインはどっちつかず。知的財産権を確保するのも至難の業−といった具合である。
結局のところ、製品の効果を裏付ける科学的データを蓄積することが、最も効果的な決定打なのかも知れない。科学重視の新しい潮流は業界構造にも多大な影響を及ぼし、大手企業に有利に働くと考えられる。
(17ページ) (著者:John Bomben, Nancy Borgeson)
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