京都議定書の批准を拒否した米国で地球温暖化問題に積極的に取り組む企業が増えており、自社のエコロジカル・フットプリント(生態系にかける負担)を減らすべく自主的に努力している。この問題を巡る科学研究や規制の動向がはっきりしないため、こうした企業努力にはリスクが伴う。
それでも、炭素排出量の規制市場で活路を見出そうとする企業は増える一方だ。効率を改善する、一般向けに好印象を与える、エネルギー消費量を削減するといった動機に加え、煩雑な規制が課される恐れなども、企業を地球温暖化問題への取り組みに駆り立てているようだ。温室ガス排出量の内部評価から新製品開発までさまざまな手法が見受けられる。
このレポートではデュポン、IBM、ジョン・ハンコック・フィナンシャル・サービスの3社を取り上げる。いずれも気候変動に与える影響を減らそうと努力しており、環境問題の旗手として多様な戦略を実行中だ。温室効果ガスの削減を始めとする社内の取り組み、排出権取引やカーボンシンク、金属イオン封鎖など社外の取り組みの両方が進められている。こうした果敢な姿勢は、利益に影響を及ぼさない「ノーリグレット(no-regrets)」策にとどめようとしてきた米企業の従来の原則に反旗を翻すものと言えるだろう。
(12ページ)(著者:Carolyn E. Sleeth)
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