薄膜リチウム・マイクロ電池は、超小型の電子機器やロボット、マイクロセンサー、ICなどの動力源として理想的と考えられる。この種のマイクロ電池は電源に接続できない場所で威力を発揮するのはもちろん、電解質に固体を使うため、液体やゲルを使用する従来の電池に比べて安全性も高い。マイクロ電池の用途は独立電源・内蔵回路の両方が考えられ、薄膜技術を持つメーカーを中心に多数の企業がこの有望市場を目指して先陣争いをしている。
だが現在までのところ、マイクロ電池の開発はエレクトロニクス製品の小型化のペースに追いついておらず、固体電解質を使った薄膜電池はまだ商品化もされていない。マイクロ電池が商業的に成功するためには、パッケージング、エネルギー密度、独立電源として使用する場合の厚さ、製造プロセスの効率化などの課題に取り組む必要があるだろう。
これらの課題が解決された暁には、短期的に有望な用途として、RFID(無線IC)タグ、スマートカード、医療向け体内埋め込み型の三つが挙げられる。また長期的にはマイクロエレクトロニクスの進化により画期的な製品群が誕生し、小型電源需要が急増すると期待できる。
(6ページ)(著者:Rosumnd Gee)
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