今日の技術、明日の問題

2021年8月

著者;David Strachan-Olson

次世代技術は多くの利益をもたらすが、利害関係者は意図しない負の影響にも目を光らせておく必要がある。

一般的に、利害関係者は新技術を、個人や組織に利益をもたらすポジティブな進展と見なす。しかし、今後数十年の間に、現在の革新的な技術がいずれ負の影響や外部性を持つことを科学者が発見するかもしれない。利害関係者は、新技術がまだ開発段階にあるうちに、その長期的な影響を考慮することで価値を得ることができるかもしれない。

ナノ粒子技術は将来性があり、食品、医療、美容製品などで多くの用途が考えられるが、安全性については懸念がある。例えば、欧州食品安全機関(EFSA)は、マイクロスケールおよびナノスケールの酸化チタン粒子からなる食品添加物E171の安全性評価を最近更新した。EFSAは、E171が細胞のDNAにダメージを与え、その結果、発がん性のある突然変異を引き起こす可能性が懸念されることから、食品添加物としての安全性を検討することができず、1日の摂取量の安全レベルを推奨することができなくなっている。

より効率的なソーラーパネルが登場したことで、既存のシステムの耐用年数に関する仮定が覆されつつある。新しいシステムは古いシステムよりもはるかに効率的であるため、ユーザーは近い将来、耐用年数の途中でシステムを破棄してより効率的なモデルに交換するという経済的インセンティブを持つようになり、リサイクルしても不経済なソーラーパネルのゴミが大量に発生することになるかもしれない。

しかし、カリフォルニア大学デービス校の交通研究所の研究者たちによる初期の研究では、部分的自動運転は車の所有者に運転を増やすことを促していることが示唆されている。運転の増加は、交通渋滞を引き起こし、交通インフラの消耗を促進する恐れがある。

ドローンとAIには、無限ともいえる数の有益な用途の可能性があるが、ドローンとAIを組み合わせることで、軍隊や政府が検討しなければならない新しいタイプの兵器システムが可能になる。2021年3月の国連安全保障理事会の報告書では、未知のグループがリビアでAIを搭載した自律型ドローンを使用して、初めて人間の介入なしに戦闘員を殺害した可能性があるとしている。(英文)