柔軟な働き方と学び方

2021年9月

著者:Rob Edmonds

仕事と学習の両方がますます柔軟でアクセスしやすくなる新しい時代に、労働者は恩恵を受けることができるだろう。

2021年4月、米国労働統計局は、過去最高の930万件の求人があった一方で、400万人が仕事を辞めたと報告した。ADP(Automatic Data Processing)のチーフエコノミストであるNela Richardson氏は、「現在進行中のパンデミックの中で合理的な選択をした労働者を非難するのではなく、社会として自分たちが生み出そうとしている仕事に目を向けるべき時なのかもしれない 」と述べている。この厳しい労働市場の中で、多くの労働者は、より良い給料、より充実した仕事、より柔軟な仕事を求め転職しているようだ。

特に、人材が不足しているハイテク業界で働きたいと考えている人にとって、このような良い仕事へ転職する傾向を助けるのが、新しくて柔軟な再教育の方法である。米国のApple社やAlphabet社などの一流企業は、大卒のプログラマーだけでなく、ブートキャンプや短期のオンラインコースでスキルを磨いたプログラマーを採用している。また、経験や資格ではなく、可能性に基づいて従業員や新人を育成するための投資を惜しまない企業も増えている。例えば、米国Levi Strauss & Co.は、機械学習のための8週間の社内ブートキャンプに、小売店や配送センターの従業員を含む社員を送り込むことで、人材不足に対応している。同様に、米国Amazon.com社では、コーディングを行う人材を対象に、機械学習や統計学の基礎を学ぶ短期コースを実施している。

以前のScan出版物「SoC1241労働市場におけるパワーバランス」では、短期的な労働力不足だけでなく、労働者の期待や政府の優先順位の変化、長期的なスキル不足などにより、労働市場におけるパワーバランスが雇用者から被雇用者へと変化している兆候を紹介した。このシフトの結果として、新しい労働慣行が生まれるかもしれない。自宅で仕事をする(多くの人にとっては今後も選択肢の一つになると思われる)だけでなく、標準的な労働時間にも変化が生じるかもしれない。例えば、アイスランドで行われた複数年にわたる2つの大規模な検証では、週40時間労働を週35〜36時間労働に変更したところ(給与は減らさない)、生産性を落とさずに従業員の幸福度が向上したことが明らかになった。(英文)